害獣対策もできて一石二鳥!?今話題の『ジビエ』とは?
年間200億円分の農作物が、野生の鳥獣によって損害を受けています。
その問題の解決法として『ジビエ』が注目されるようになりました。ジビエについての基礎知識をここではお伝えします!
ヨーロッパでは伝統的な『ジビエ』とは?
ジビエとは、フランス語で『狩猟で得た天然の野性鳥獣の食肉』を意味します。ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきました。その昔は狩猟ができる用地を持つような、上流階級の貴族だけが楽しめる貴重な食材でした。ここでは動物の尊い命を奪う代わりに、肉はもちろん内蔵や血液までも使うことで、生命に感謝を捧げようという精神が流れています。
日本においては、11月15日から2月15日まで狩猟が解禁されています。ジビエにあまり馴染みのない日本においても根強いファンが多く、ワイン好きやグルメ好きに人気の高い料理となっています。
大自然を駆け巡った天然の鳥獣は、脂肪が少なく引き締まり栄養価も高い、冬季限定のごちそうなのです。
ジビエと呼ばれる野生鳥獣たち
日本で有名なジビエと言えば、鹿やいのししが挙げられます。しかし、狩猟の対象となっている野生鳥獣は全て『ジビエ』と定義されています。野うさぎやキジ、雷鳥などの他にカラスやハクビシンなども狩猟対象となっています。ここでは、日本でおなじみの鹿といのししについてご紹介します。
鹿肉は他の食肉と比べて脂肪が少なく、ヘルシーな食材です。低カロリーであるにも関わらず、高たんぱくで鉄分も豊富なところが魅力です。
また、含まれる鉄分は吸収率の高い『ヘム鉄』であるため、貧血や冷え性の予防に効果的です。また、いのしし肉は赤身だけでなく脂身も美味です。
豚の脂身と違い、いのししの脂身はコラーゲンであるため、味がしつこくありません。
中には特有のにおいが苦手な方もいますが、しっかりと血抜き処理と調理を行えばとても美味しく食べることが可能です。
ジビエの普及が農村を救う!?
現在、年間200億円の農作物が野生の鳥獣によって食い荒らされています。また、捕獲した48万頭あまりの動物たちは活用されることなく処分されているという現実があります。しかし、ジビエが普及すれば問題解決の一助になると言われています。
まずは、捕獲者の新たな収入源になるということ。ジビエが普及して収入源となれば、捕獲者の意欲や人数が増えることが見込まれ、それによって捕獲頭数も増加すれば鳥獣被害対策になります。
また、食肉を活用することで雇用増加や特産品・観光資源の創出ができるので、地域の活性化に貢献できるのではないかと言われています。