ビール表示の意味は?ドラフト ラガーなどビールに迫る!
春は出会いと別れの季節なので
各地で歓送迎会が行われます。
『とりあえずビール』という言葉からも分かるように
社会人の宴会にはビールが欠かせない存在です。
ビールはかなり古くから造られたと言われ
時代を経るごとに醸造技術や長期保存法が確立していきました。
また、居酒屋や缶についたラベルなどで
『ラガービール』や『生ビール』または『ドラフトビール』
などの表示を見ることが多いと思います。
これらの表示は法律で決められていますので
その基準についてもご紹介していきます。
日本では江戸時代にビールが入り、明治時代に製造が盛んになった
コンパや宴会の乾杯に欠かせない『ビール』。その誕生はかなり古くまで遡ります。
諸説ありますが、紀元前8000~4000年に誕生したと言われ
文明とともに古くから人々に親しまれてきました。
人類最初の文明においてビールづくりの模様が記録に残っているため
そのころには既にビールが飲まれていたことになります。
当時は麦を乾燥して粉にしたものをパンに焼き上げ
これを砕いて水を加え
自然に発酵させるという方法が採られていました。
中世になると、ヨーロッパにおいては上等なビールが
修道院で造られるようになりました。
このころのビールは、栄養補給や
医療にも利用されていたと言います。
そして、15世紀以降はビールの醸造が
市民の手によって行われるようになり
醸造技術も次第に改良が加えられました。
ドイツにおいては1516年に『ビール純粋令』が出され
大麦・ホップ・水の3つの原料以外は使用してはならないと定めることで
ビールそのものの定義を決定するとともに品質向上に貢献しました。
そして、近代以降のビールに決定的な影響を及ぼしたのは
細菌学者パスツールだと言えます。
彼が発明した方法により、ビールを変質させずに
長期間保存することができるようになりました。
日本にビールが入ってきたのは
英米の船が来航してからのことです。
そして、明治には日本でビールの製造が本格的に行われるようになり
日本のビール産業が始まっていきました。
現代では消費者の好みの多様化に合わせ
さまざまな新商品を発売したり
新鮮に流通する技術を確立させたりしています。
また、ビール工場では工場見学も行っており
消費者にビール造りを楽しんで学んでもらえるよう
各社が知恵を絞っています。
麦芽・ホップ・水以外にも、さまざまな副原料を使用することがある
さて、続いてはビールの原料について詳しく見ていきましょう。
ビールの原料は国によって異なった使い方がありますが
日本では酒税法により、麦芽・ホップ・水のほかに
副原料として、米・とうもろこし・でんぷん(スターチ)・糖類
などを使用することができます。
それぞれの原料について、少しまとめたいと思います。
・麦芽
主として二条大麦(ビール大麦)から造られます。
この麦は粒の大きさや形状が均一であり
酵素の力が強いなどの必要条件を満たしているため
よく使用されています。
・ホップ
多年生、雌雄異株のつる性の植物であり
醸造には雌株につく受精していない毬花を8~9月に収穫して使います。
ホップはビールに独特な芳香と爽快な苦味を与え
泡もちをよくするなどの重要な役割を担っています。
・水
醸造用の水はビールの品質に大きな影響を与えるため
工場の立地を決める際は適質の水が得られることが
重要な条件となっています。
水にはカルシウムやマグネシウムの量によって
『軟水』と『硬水』に分けられますが
一般的には日本でよく飲まれる淡色ビールには軟水
濃色ビールには硬水が適しています。
・米・とうもろこし・スターチ
ビールの味を調整し
バランスを良くするのに役立ちます。
・糖類
発酵性エキスの濃度を高くするために加糖することがあり
その場合はアルコール分が高くなります。
このような原料を使ってビールは造られます。
『製麦→仕込み→発酵→貯酒→ろ過→容器詰め』
といった工程で製造され、出来上がるまでには2~3ヶ月かかります。
特定の4用語には基準があるが、重複表示もOK
最後に、日本におけるビールの表示についてご紹介してきたいと思います。
国産ビールの表示については
酒類業組合法や食品衛生法によって基準が定められています。
海外だと定義が異なる場合がありますが
日本では以下のようになります。
・ラガービール
貯蔵工程で熟成させたビールであり
熱による処理(パストリゼーション)の有無に関係なく
熟成させたビールはこう呼ばれます。
・生ビールおよびドラフトビール
熱による処理をしていないビールであり
この表示を行う場合は『熱処理していない』や
『非熱処理』などの旨が併記されます。
・黒ビールおよびブラックビール
濃色の麦芽を原料の一部に使った
色の濃いビールを指します。
・スタウト
濃色の麦芽を原料の一部に用い
色が濃く、香味の特に強いビールです。
また、この4つの用語の表示基準は、ビールの分類をしたものではなく
それぞれの用語を表示する場合の必要条件を規定したものです。
たとえばラガービールの条件と生ビールの条件とを満たしている場合
『ラガービールの生ビール』と表示するのも許可されています。
最近では醸造技術の発達から、日本で流通しているビールは
生ビールがほとんどになりました。
ちなみに、生ビールと言うとジョッキで出されるものをイメージする
かも知れませんが、缶でも瓶でも条件を満たせば生ビールとなります。
これからビールの季節になります。
飲みすぎに注意して
ビールで楽しいひと時をお過ごしくださいね!