「五月晴れ」とはいつの時期?本来の意味と使い方
5月のニュースで「今日は五月晴れです!」
などと聞いた経験がある方も多いのではないでしょうか。
本来は5月の晴れ間に対してこの言葉は使いませんが
最近ではこの使い方が定着してきました。
ここでは、言葉の使い方が変わった原因である
「旧暦と新暦」にスポットを当てながら
五月晴れの本来の意味についてご紹介していきたいと思います。
「さつき」は旧暦の5月!では他の月は?
まずは、「五月晴れ」の「さつき」についてご紹介していきたいと思います。これは旧暦の5月を表す言葉であり、ほかの月は以下のようになります。
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1月 睦月 (むつき)1年の初めに仲睦まじく過ごす月
2月 如月 (きさらぎ)「衣更着」と書き着物を更に重ね着する月
3月 弥生 (やよい)「いやおい」から転じいよいよおい茂る月
4月 卯月 (うづき)卯の花が咲く月
5月 皐月 (さつき)「早苗月」と書き田植えをする月
6月 水無月(みなづき)田に水を引く必要のある月
7月 文月 (ふづき)七夕に託して文をしたためる月
8月 葉月 (はづき)木の葉が紅葉しやがて落ちていく月
9月 長月 (ながつき)夜が長い月
10月神無月(かんなづき)神々が出雲大社に集まり他の場所に神がいない月
11月霜月 (しもつき)霜が出る月
12月師走 (しわす)日時が果てる月「僧侶(師)が走り回る月」は俗説
このように、旧暦の月名は現在の季節と少しずれていることがあります。
その理由は、次にご紹介します。
旧暦は月、新暦は太陽を基準として作られる
では、そもそも「旧暦」とはどういったものなのでしょうか?昔ながらのカレンダーには、現在の日付に加えて旧暦の日付が書いてあります。
太陽の動きを元に作られる現在の暦になったのは、明治時代のことでした。
それより前は月の満ち欠けによって暦が作られていて、1ヶ月は約29.5日でした。
しかし、こうすると季節と日付がだんだんずれていってしまいますので
およそ19年に7回「閏(うるう)月」を挿入してバランスを取っていました。
旧暦は明治5年12月2日まで使われていましたが
その翌日の12月3日をもって新暦明治6年1月1日になりました。
この改暦はかなり急いで行われましたが、月給制度にした官吏の給与を
閏月含め13ヶ月分払うのを防ぐためだったとされています。
こういったことから新暦と旧暦を比べてみると
新暦と旧暦にはおよそ1ヶ月のずれがあります。
元々は、「梅雨の晴れ間」を表す言葉だった!
さて、前置きがかなり長くなってしまいましたが本題の「五月晴れ」についてご紹介します。
「さつき」とは旧暦の5月であることから、現在の暦でいうと6月にあたります。
日本の6月といえば、もちろん「梅雨」です。
したがって、「五月晴れ」とは元々
「梅雨の晴れ間」や「梅雨の合間の晴天」を指す言葉でした。
しかし、時が経つにつれて誤用が進み
「新暦の5月の晴れ」の意味でも使われるようになりました。
今ではこの使い方も定着しているため
国語の辞書にもこういった記述が加えられています。
また、五月晴れは誤用が進んでしまいましたが
「梅雨」を指す「五月雨(さみだれ)」や
「梅雨のころの夜の暗さ」を指す「五月闇(さつきやみ)」などは
現在でも本来の意味で使われています。
このように、「五月晴れ」という言葉は
時代とともに意味が広がっていきました。
こういったことを知った上で気象ニュースに耳を傾けると
いつもと違う発見があるかもしれません。