作家・松本清張の軌跡と記念館
松本清張は明治から平成の時代を生きた小説家であり
『砂の器』や『黒革の手帖』などの代表作があります。
清張作品は盛んに映像化も行われ
現在でも単発ドラマで定期的に放映されています。
ここでは、清張の作家人生について年代ごとにまとめ
清張ゆかりの地・福岡県北九州市にある
松本清張記念館の情報についてもまとめていきたいと思います。
1953年に芥川賞を受賞した小説家
松本清張(まつもとせいちょう)は、明治42年から平成4年までを生きた日本の小説家です。
1953年に『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞し
以降しばらくは歴史小説・現代小説の短編を中心に執筆しました。
そして、1958年には『点と線』、『眼の壁』を発表し
以後は犯罪の動機を重視する作風の推理小説で知られるようになりました。
代表作には『ゼロの焦点』や『砂の器』、『黒革の手帖』などがあり
多くの作品が映像化されています。
また、名前の『せいちょう』はペンネームであり
本名は『きよはる』と読みます。
それでは、松本清張のデビューから晩年までの作品について
年代別に見ていいましょう。
まずは、1950年代からです。
もともと作家志望ではなく
生活のために勤務中の1951年に書いた処女作『西郷札』が
週刊朝日の『百万人の小説』の三等に入選し
第25回直木賞候補となりました。
そして、1952年には『記憶』、『或る「小倉日記」伝』を発表しました。
1953年に後者は直木賞候補となりましたが
後に芥川賞選考委員会に回され、第28回芥川賞を受賞しました。
そして、上京後には勤めていた新聞社を辞め
本格的に作家活動を始めました。
1960年にはノンフィクション『日本の黒い霧』の連載が始まりました。
連載中から大きな反響を呼び、『黒い霧』は流行語となりました。
そして、1961年には前年度の高額納税者番付で作家部門1位となりました。
直木賞選考委員も務め、『砂の器』や『けものみち』を発表しました。
また、1963年には江戸川乱歩の後を受けて日本推理作家協会の理事長を務め
1971年には会長となりました。
しかし、この年代には安易な清張ブームに追随したものも多く
トリックも意外性もない社会批判小説や風俗小説が
本格推理と銘打たれて乱発する状況となりました。
推理小説の形骸化に対し、清張は『ネオ・本格』という標語を掲げ
その流れに懸念を示しました。
さまざまなテーマを題材とした作品を発表
清張は1970年、『昭和史発掘』などの創作活動で第18回菊池寛賞を受賞しました。
この時期にはさまざまなテーマを題材として
質の高い作品を多く発表しました。
1970年代後半には邪馬台国ブームなどが起こり
古代史を題材とした作品も多く見られるようになりました。
1980年代には清張原作の新作ドラマが多く放送されました。
視聴率を確保できるため、清張作品のドラマ化は過熱化していましたが
原作のテーマから逸脱した不本意な映像化を防ぐ目的もあり
清張は監査役を務めていました。
1990年には『社会派推理小説の創始、現代史発掘など
多年にわたる幅広い作家活動』の功績から、1989年度の朝日賞を受賞しました。
時代・歴史小説の執筆は減少傾向にありましたが
晩年には再び時代小説に取り組みました。
1992年には脳出血のために入院し
7月には肝臓がんであることが判明しました。
そして、8月4日に82歳で死去しました。
清張の死後にも、さまざまな動きがありました。
1994年には清張の業績を記念して
日本文学振興会が『松本清張賞』を制定しました。
1998年には北九州市に松本清張記念館が開館しました。
2004年にはテレビ朝日が『黒革の手帖』で
清張作品の映像化を行い、以後は随時
単発大型ドラマを編成しています。
北九州市には松本清張記念館が存在
さて、最後に松本清張の作品や書斎の展示を行っている松本清張記念館について概要をお伝えします。
諸説ありますが、清張は現在の北九州市小倉北区で出生したとされています。
清張のゆかりの地であるこの場所に記念館が誕生しました。
館内にはさまざまな展示があり、来館者を楽しませます。
約700冊といわれる清張の著書を年代ごと
ジャンルごとに分類して紹介しています。
また、ドキュメンタリー映像の上映や
書斎・書庫・応接室の展示も行っています。
定期的に企画展を行っており
2014年1月18日~5月6日は
『北九州市と松本清張』というテーマの展示が行われます。
記念館へのアクセスについて最後にまとめます。
・開館時間
午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)
・休館日
年末(12月29日~31日)
・観覧料
一般:500円(団体・高齢者:400円)
中高生:300円(団体:240円)
小学生:200円(団体:160円)
※団体料金となるのは30名以上からです。
・アクセス
JR小倉駅から徒歩15分
または駅前から西鉄バスに乗車し
小倉城・松本清張記念館前で下車
数々の作品を世に生み出した松本清張。
ドラマや小説に触れて興味を持った方は
こちらの記念館を訪れるのも良いと思います。