統合失調症ってどんな病気?何科に行けばいい?
統合失調症という病気をご存知ですか?
よく世間を騒がす凶悪な事件や、我々の理解できないような事件が起きた際にその原因としてあげられることの多いこの病気。
なんだか非常に怖くて特別な病気だと思っていませんか?
今回はそんな統合失調症についてを調べてみました。
統合失調症とは?
統合失調症とは、もともと日本では「精神分裂病」と呼ばれていた病気です。しかし「精神が分裂」という表現がマイナスなイメージを膨らませ、差別につながりやすいということで、「統合失調症」という新しい病名が使われるようになりました。
実際「精神分裂病」というと、心がばらばらになってしまったり、多重人格だったり、というようなイメージがありませんか?
珍しくて恐ろしく、一度発症してしまうとまともな生活ができなくなってしまう……。
そんなネガティブなイメージを打ち消すために、「統合失調症」という新しい病名が作られたのです。
症状や原因は?
統合失調症は、精神がおかしくなる病気だと思われがちですが、実際には精神がおかしくなるというよりも、脳の機能に障害が発生する病気です。あるはずのないものが見えたり、聞こえたり、普通の人にとっては何でもない刺激を大袈裟に脳が認識してしまうのです。
その人の心や、理性、知性が狂っているのではなく、その人の脳の認識が現実とズレてしまい、ズレた現実に対応してしまうが故に、周囲から見るとおかしな言動に見えてしまいます。
例えば街中で誰かにぶつかられた場合、通常なら偶然ぶつかっただけだと考えますが、脳のバランスが崩れてしまっていると、「相手はわざと自分にぶつかってきた。
自分に対して悪意があるに違いない」と受け止めてしまうのです。
結果として、統合失調症の影響を受けている人は被害妄想に陥りやすいという特徴があります。
脳が敏感になっており、また幻聴や幻覚といった症状から、世界中の人間が自分を殺そうとしている、狙っている、監視されている、というような妄想に取り付かれてしまうのです。
では何がきっかけで脳はバランスを崩してしまうのでしょうか。
実はその原因はまだはっきりとはわかっていません。
ストレスにより脳内の物質のバランスが乱れることで発症するとも言われていますし、遺伝も関係しているとも言われています。
ですが現在、100人に1人がこの病気を発症すると言われています。
統合失調症は決して珍しい特別な病気ではありません。
統合失調症の人は危険?
最初で言ったように、様々な事件の原因だと報道されることの多いこの病気。患者さんは本当に危険なのでしょうか。答えは「イエス」でもあり、「ノー」でもあります。
症状として被害妄想があるため、患者さんの中には妄想に取りつかれ、自分自身を護るために人を傷つけてしまうこともあります。
ですが、統合失調症という病気にも段階があり、いきなり酷い妄想に取りつかれるということはありません。
少しずつその人の中の現実の認識が崩れ、妄想が育っていってしまいます。
Photo by (c)Tomo.Yun
初期の段階で適切な治療を受けることが出来れば、そのような凶行に出ることはほとんどないのです。
薬によって脳のバランスを整え、他の人たちと同じように社会の中で生活していくことができます。
ですが、「統合失調症」という病気についての理解がまだまだ浅いこともあり、患者さん自身が自分が気が狂ったのではないかと診断を恐れて病院に行かなかったり、周囲や家族の理解が得られないことにより、「精神病なんて大袈裟」もしくは「精神病なんて恥ずかしい」と、適切な治療を受けずに放置してしまうことにより、病気はどんどん悪化し、妄想と現実の区別がつかなくなっていってしまうのです。
統合失調症は、確かに怖い病気です。
ですが、それは他の病気と変わりません。
きちんとした治療を受ければ、上手につきあって社会生活を送ることも十分に可能です。
病気を理解し、必要以上に恐れないことが一番大事なのではないでしょうか。
自分がちょっとおかしい、もしくは家族の様子が少しおかしいと感じるようなことがあったなら、風邪で病院に行くように、気軽に心療内科を受診してみませんか?
身体を労るように、心も労っていけたら良いですね。
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